2026年8月13日
後継者がいない。でも、選択肢は廃業だけじゃない
息子は都会で会社員をやっている。娘には娘の人生がある。従業員に「継がないか」と聞ける空気でもない。だから自分の代で終わり。そう決めている社長は多いはずです。
その状況自体は、めずらしくもなんともありません。経済産業省の試算では、経営者が70歳を超えて後継者が決まっていない会社は約127万社。日本の会社の3社に1社くらいの規模感です。問題は、そこから「だから廃業しかない」に一足飛びに進んでしまうことです。
「継ぐ人がいない」と「引き取る人がいない」は別の話
後継者というと親族を思い浮かべますが、会社の引き継ぎ先は親族だけではありません。
- 第三者に売る。同業の会社、近隣の会社、独立したい個人。あなたが知らないだけで、買い手は探せば見つかることがあります。
- 従業員に譲る。番頭格の従業員が引き継ぐ形。お金の工面が課題になりますが、取引先との関係はいちばん滑らかに続きます。
- 磨いてから決める。いま売りにくい会社でも、1〜2年かけて弱点を直せば売れる形になることがあります。
昔は会社を売るというと、大企業の話でした。いまは違います。個人でも登録できるM&Aのマッチングサイトが複数あって、年商数千万円の会社や、従業員数人の事業が日常的に取引されています。売り手側は手数料無料のところが多く、社名を伏せたまま「うちの会社に興味を持つ人がいるか」だけ確かめることもできます。
売れる会社の条件は、大きさじゃない
買い手が見ているのは、規模ではありません。主にこの3つです。
- 社長の給料を払ったうえで、利益が残っているか
- 社長がいなくても、現場が回るか
- 特定の1社に売上を握られていないか
逆に言うと、黒字でも「社長の腕だけで回っている」会社は値段がつきにくい。ここが直せる弱点なのがポイントです。顧客ごとの勘所や値決めのやり方を文書にして、任せられる範囲を広げていく。地味な作業ですが、これをやった会社とやらなかった会社では、出口の選択肢がまるで違います。
何もしないことにも、値札がついている
「まだ元気だから、考えるのは先でいい」。その気持ちは分かります。ただ、後継者問題は放っておくと選択肢が一つずつ消えていく種類の問題です。体調を崩してから売りに出た会社は買い叩かれます。社長が動けなくなってからでは、譲る相手を探す時間すらありません。
いま決める必要はないんです。ただ、いまの自分の会社にどの道が残っているかだけは、元気なうちに見ておいたほうがいい。