2026年8月13日
廃業の相談は、誰にすればいいのか
「そろそろ畳もうかと思っている」。この一言を、誰に言えばいいのか。実はこれが、廃業を考え始めた社長の最初の壁です。手続きの話より、ずっと手前にある壁です。
誰にも言えないのは、あなただけじゃない
小規模企業白書の調査によると、従業員を雇っていない小規模事業者の4〜5割は、日常的な経営の相談相手を持っていません。番頭のいない会社の社長は、そもそも普段から一人で決めてきた。その延長で、いちばん重い決断も一人で抱え込みます。
家族には心配をかけたくない。従業員に知られたら動揺が走る。取引先に漏れたら、明日からの支払い条件が変わるかもしれない。だから夜中に一人で検索することになる。
顧問税理士に言いにくいのには、理由がある
「税理士さんがいるなら、まず税理士に」とよく言われます。正論です。ただ、多くの社長がなんとなく言い出せずにいる。その感覚は、実は勘が当たっています。
顧問税理士にとって、あなたの会社の廃業は顧問料の消滅を意味します。悪意の話ではありません。構造の話です。会社を続けてほしい立場の人に「やめようと思う」と相談する。そこには最初から利益相反が組み込まれています。誠実な税理士でも、この構造の外には出られません。
だから、税理士に相談してはいけないという話ではないのです。手続きが決まったら税理士は不可欠です。ただ「畳むかどうかを決める相談」と「畳むと決めた後の手続きの相談」は分けたほうがいい。前者は、あなたの会社が続いても畳まれても損得のない相手にするべきです。
相談先には、それぞれ守備範囲がある
| 相談先 | 向いていること | 注意点 |
|---|---|---|
| よろず支援拠点 | 無料で何度でも話せる。国が各都道府県に設置 | 助言まで。実行は自分で |
| 税理士 | 清算の税務申告。数字の整理 | 畳むか迷う段階では利益相反がある |
| 司法書士 | 解散・清算の登記 | 登記が決まってからの出番 |
| 弁護士 | 借金が重いときの整理 | 債務超過なら真っ先にここ |
| M&A仲介・マッチングサイト | 会社が売れるかの相談 | 売れる会社にしか関心がない |
ひとつ強調しておくと、返済が資産を上回っていそうな場合だけは順番が変わります。売る畳むの前に、弁護士か、公的機関の中小企業活性化協議会へ。早いほど選択肢が残ります。
いきなり人に話す前に、できること
相談には準備が要ります。といっても決算書をかき集める話ではなくて、自分の頭の整理です。会社を売りたいのか、続けたいのか、畳みたいのか。それが自分でも分かっていないと、誰に会っても話が進みません。
まず匿名で、自分の会社の現在地を数字で見てみる。それから人に会う。この順番のほうが、相談は短く、深くなります。